バーチャルオフィスはビジネスに使える住所を取得できること以外にも、さまざまなメリットがあることをご存じでしょうか。
そこで今回は、バーチャルオフィスの利用を検討している方に向けて、バーチャルオフィスを利用するメリットを詳しく解説します。
もちろん良い面だけではなく、バーチャルオフィスのデメリットもお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
バーチャルオフィスを利用するメリット
バーチャルオフィスを利用することで得られるメリットは次のとおりです。
- 通常のオフィスと比較して低コストで利用できる
- 開業や業務開始までの期間を短縮できる
- 立地の優位性をビジネスに活かせる
- 自宅住所と分けることでプライバシーを守れる
- 感染症の拡大や自然災害などの緊急事態に対応できる
- 電話や郵便物、来客の対応を代行してもらえる
- 必要なときだけ会議室を利用できる
以下、それぞれ説明します。
通常のオフィスと比較して低コストで利用できる
通常オフィスを借りるとしたら、毎月の賃料に加え、さまざまなランニングコストが発生します。
- 水道料金やガス料金などの光熱費
- 電気代
- 固定電話やFAX回線の料金
- インターネット通信費
- 消耗品などの雑費
- OA機器のリースやメンテナンスにかかる費用
これらを計算すると、毎月賃料+10万円はかかるでしょう。
バーチャルオフィスは、月額1000円弱から契約できるものもあり、圧倒的にコストパフォーマンスが良いです。
「開業したばかりの資金繰りが不安定な時期だけ利用し、事業が軌道に乗ったら事務所を正式に契約する」といった使い方もできますよ。
開業や業務開始までの期間を短縮できる
開業において、手続きでの住所の明記が必要不可欠です。
バーチャルオフィスを契約すると、通常1〜2か月を要する事務所探しや入居までの手間・時間を短縮して住所を取得できるため、スピーディーに業務を開始できます。
バーチャルオフィス契約までの一般的流れは、以下のとおりです。
- バーチャルオフィスの住所一覧から、希望の住所を選択する
- オプションサービスを決定する
- 申し込みのための必要書類を提出し、審査を行う
このように、検討〜契約までの手続きが非常にシンプルで、多くのバーチャルオフィスではWEB上で申し込みが行えます。
本人確認書類などの必要書類も、画像データにして送付するだけで、審査に関する手続きも手軽に完了します。
立地の優位性をビジネスに活かせる
開業したばかりの、会社としての実績や知名度がない時期に、新しく契約を取ることは至難の業です。
そのような時に、バーチャルオフィスならではの立地の良さが、有利に働く場合があります。
例えば、会社の住所が都心の1等地にあると、顧客や取引先に信頼感を与えることができるでしょう。
自宅住所と分けることでプライバシーを守れる
会社の設立時には、登記簿に住所の記載が求められます。
登記簿は申請をすれば、第三者でも登記情報の取得が可能であるため、プライバシーの注意が必要です。
自宅住所をビジネスにも使用したことで、ストーカー被害を被ることも珍しくありません。
プライバシー保護の観点から、自宅の住所とビジネスで使用する住所は分けておくべきでしょう。
感染症の拡大や自然災害などの緊急事態に対応できる
昨今の新型コロナウイルスの急激な感染拡大に伴い、突如在宅ワークに切り替わった方も多いのではないでしょうか。
感染症や地震などの自然災害といった不測の事態にも、バーチャルオフィスならば対応できます。
もしも働く場所が変わっても、郵便物の転送先住所を変更するだけで、どこでも変わりなく仕事を行うことができて安心です。
電話や郵便物、来客の対応を代行してもらえる
基本サービスに含まれておらずオプションサービスとなる場合もありますが、電話転送・電話代行や郵便物の転送、来客時の対応をバーチャルオフィス側にしてもらうことができます。
会社として必要な機能を破格の値段で利用できるのは、バーチャルオフィスの特長の一つです。
必要なときだけ会議室を利用できる
「クライアントと打ち合わせをしたい」「集中して作業をしたい」というように、必要な時のみ会議室をレンタルできるバーチャルオフィスもあります。
一回ごとに利用料金が発生する場合や月ごとの利用回数が定められている場合など、バーチャルオフィスによって形態が異なるため、契約時にあらかじめ確認しておきましょう。
バーチャルオフィスを利用するデメリット
一見すると良いところばかりに思えるバーチャルオフィスですが、デメリットもいくつかあります。
- 口座開設や融資などの審査が通りにくい可能性がある
- 他社と住所が重複する場合がある
- 郵便物や電話への対応が遅くなる
- 働く場所の確保が必要
- バーチャルオフィスでの開業ができない業種がある
- 信用に欠ける業者もある
以下、それぞれ解説します。
口座開設や融資などの審査が通りにくい可能性がある
バーチャルオフィスの住所を利用することで、金融機関の口座開設や融資などの審査に通りにくくなるとは一概にはいえませんが、住所が審査の判断材料のひとつになることは事実です。
あくまでも審査は、事業の代表者を信用できるかを総合的に見て判断されます。
新しい事業の事業内容や成長の見通しなど、きちんと説明できるように整理し、資料作成を入念に行うことがなによりも重要です。
もしも、1つの金融機関の審査に落ちてしまっても、ほかの金融機関の審査には通る場合もあります。
複数申し込みができるように準備しておくと良いでしょう。
他社と住所が重複する場合がある
バーチャルオフィスでは性質上、同じ住所を多くの会社が利用しています。
そのため、インターネットで住所を検索すると他社も表示され、バーチャルオフィスを使用していることがわかってしまいます。
不審に思われないように、事前に説明しておくと安心です。
郵便物や電話への対応が遅くなる
バーチャルオフィスでは、郵便物の転送サービスがありますが、1週間分をまとめて転送という形を取っていることが多いです。
急ぎの郵便物は速達で配送してもらったり、直接荷物を取りに行ったり、別の対応を行う必要があります。
また、電話代行・電話転送サービスもありますが、電話を取るスタッフはあくまでバーチャルオフィス会社のスタッフです。
そのため、企業や製品・サービスに関する質問には回答ができず、簡単な問い合わせであっても先方とのやり取りに時間がかかってしまうこともあるでしょう。
さらに、転送時に自身が電話を取れなかった場合、どれくらいで折り返し連絡ができるかを相手に伝えることができない点もデメリットです。
バーチャルオフィスでの開業ができない業種がある
一部の業種に限り、登記でバーチャルオフィスの住所を使用できません。
具体的には、許認可が必要な業種が当てはまります。
あるいは、登録の住所に実態のあるオフィスが必要となる以下の業種では、開業ができないため注意しましょう。
- 人材派遣業
- 職業紹介業
- 建設業
- 不動産業
- 古物商
- 探偵業
働く場所の確保が必要
バーチャルオフィスでの実働は基本的に想定されていないため、自宅やカフェなど別の作業スペースを用意する必要があります。
一部のバーチャルオフィスでは、会議室をオプションサービスとして貸出していたり、コワーキングスペースを提供していたりすることもあります。
「自宅やカフェ以外の、集中できる環境が欲しい」という方は、作業スペースがあるバーチャルオフィスを拠点選びの基準のひとつにすると良いでしょう。
信用に欠ける業者もある
バーチャルオフィス事業者の中には、信用に足らない事業者もいるため十分注意してください。
過去には、「格安バーチャルオフィスを契約して、音信不通になってしまった…」という被害を受けた方もいらっしゃるようです。
事前にいくつかの事業者を比較・検討してから申し込み、少しでも不安に思う点があったら必ず確認しておきましょう。
バーチャルオフィスのチェックポイント
バーチャルオフィスのメリット・デメリットをまとめると、以下のとおりです。
メリット
- 低コストでオフィスの機能を利用できる
- 手続きが簡単かつスピーディー
- 会社としての信頼度が上がる
- プライバシーが保護できる
- 緊急事態にも対応可能
- 豊富なオプションサービスを利用できる
デメリット
- 金融機関などの審査が通りにくいこともある
- 他社と住所が重複する
- 郵便物や電話への対応が遅れる
- 一部業種では開業不可
- 働く場所を別に確保する必要がある
- 信用性にかける事業者も存在する
上記を踏まえ、バーチャルオフィスの契約前に必ず確認しておきたいチェックポイントを紹介します。
会社登記の可否
必ず確認したいのが、「自身の開業したい業種は、バーチャルオフィスの住所で開業ができるか」という点です。
先ほど挙げた業種に含まれいないかをまずチェックしましょう。
オフィスの場所・立地
バーチャルオフィス選びで見落としがちなのが、オフィスの場所・立地です。
例えば、クライアントとの会議のために会議室を利用したり、コピーを大量にとるためにコピー機の利用に出向いたりと、意外と足を運ぶ機会があるかもしれません。
もしもの時を考えて、あまり立地の悪い駅から離れた場所や自宅から遠すぎる場所は選ばない方が無難です。
料金・費用
料金・費用は、バーチャルオフィスの事業者によってさまざまです。
基本サービスに含まれる内容や住所のグレードなどによって、料金は上下します。
どのくらいの予算感が今の会社の規模に適しているのか、基本プラン以外に料金が発生するタイミングはないかを総合的に判断して、事業者や利用プランを決定しましょう。
契約期間や違約金の有無
契約期間や違約金の有無も事業者によって異なります。
お試しでバーチャルオフィスを利用したい方は、3か月などの短期間契約できるプランがおすすめです。
長期利用が決まっている方は、自動契約更新のプランだと手続きの手間が省けます。
その場合、途中で契約を解除する時に、違約金が発生するかも確認しておきましょう。
設備や機能性、サービスやオプション内容
バーチャルオフィスごとに設備や機能性、提供サービスは異なります。
住所貸しや郵便物の転送機能さえあれば十分なのか、もしくは会議室やFAX・コピー機も使用したいのかなど、仕事する上で必要な設備や機能を明確にしておきましょう。
まとめ
今回は、バーチャルオフィスのメリット・デメリットを徹底的に解説しました。
1部の登記できない業種もありますが、フリーランスや個人事業主、起業したての方にぜひおすすめしたいレンタルサービスでした。
もしもバーチャルオフィスを導入するならば、記事の後半で紹介したチェックポイントも参考にしてみてください。