「開業・起業するにあたって、できる限り初期費用を抑えたい」とお考えの方には、バーチャルオフィスの利用がおすすめです。
バーチャルオフィスの住所を活用すると、事務所を借りる必要がなく、毎月の賃料などのコストを大幅に削減できます。
本記事では、バーチャルオフィス住所を活用して開業するメリットやシェアオフィス開業との違い、どのような業種・職種にバーチャルオフィスの利用が適しているのかなどを解説します。
また後半では、バーチャルオフィス住所で会社登記するにあたって、よくある4つの疑問にも回答していきます。
バーチャルオフィス住所を活用して開業するメリット
バーチャルオフィスとは、物理的な事務所や店舗を必要とせずに、ビジネスに必要不可欠な『住所』をレンタルできるサービスです。
バーチャルオフィスによって取得した住所は、名刺やホームページに記載できるだけではなく、法人の本店や支店の住所として登記できる場合もあります。
バーチャルオフィスの住所で開業・起業するメリットは、主に以下の6つです。
- 会社のブランディングに繋がる
- 郵便物の受取り・転送を行ってくれる
- 03番号(固定電話番号)が取得できる
- 自宅住所で登記する必要がなく、プライバシーが保護できる
- 突然の来訪にも受付担当者が対応してくれる
- 会議室やコワーキングスペースが利用できる
事務所を賃貸契約する際にかかる初期費用や毎月のランニングコストは、オフィスを契約する代わりに自宅やカフェなどで作業することで、コストカットが可能です。
その場合、バーチャルオフィスの住所を利用し、ビジネス街に拠点があることを表記すると、会社としての信頼が高まります。
バーチャルオフィスには住所貸し以外にも、ビジネスに役立つ各種サービスがあり、会社としての機能を補完してくれる特徴があります。
バーチャルオフィス住所での開業に適している業種・職種
バーチャルオフィス住所での開業には、業種や職種によって向き・不向きがあります。
本項では、どのような業種や職種だとバーチャルオフィスの利用がおすすめなのかを解説します。
IT関係
WEBデザイナーやプログラマー、システムエンジニア、アプリ開発者など、ネット環境さえあればどこでも仕事を行うことができる、IT関連の職種の方におすすめです。
業務スペースが無い代わりに利用料金が安いバーチャルオフィスと親和性が高く、ビジネス用の住所の取得や固定電話番号の取得を目的として利用されるケースが多くあります。
インターネットショッピング
インターネットショッピング事業を始める方にも、バーチャルオフィスは選ばれているサービスです。
事業を始めるにあたっては、特定商取引法に基づき、『名前』・『住所』・『電話番号』をホームページに記載することが定められています。
しかし近年では、ホームページに記載した自宅の住所や電話番号が悪用されるケースがあとを経ちません。
プライバシー保護の観点から、ビジネス用の住所・電話番号を用意しておくと安心です。
経営コンサルタント業
起業コンサルタントやセミナー講師といったとも職種とも、バーチャルオフィスは相性抜群です。
バーチャルオフィスの住所を都心にある一等地のものを選ぶことで、事業のブランド力アップや集客力アップに役立てることができます。
また、コンサルティングのためのミーティングやセミナー用スペースとして、オプションサービスである『会議室の貸出』の利用も可能です。
駅からオフィスまでの近さなど、バーチャルオフィスのアクセス性の良さも住所選びのひとつの基準となるでしょう。
専門職
スタイリストやカメラマン、カウンセラーなど、仕事場所が固定されていない専門職にもおすすめです。
専門職だと仕事用の道具があればどこでも仕事を行うことができるため、「登記のためだけにオフィスを賃貸するのは勿体ない…」と感じてしまう方も多数いらっしゃいます。
そこでビジネス用住所の取得を目的に、バーチャルオフィスを利用することは、合理的な選択といえます。
バーチャルオフィスでの開業に適していない業種
バーチャルオフィスの開業に適していない業種とは、バーチャルオフィスの住所では開業できない一部の業種のことです。
以下の事業種には、開業にあたって特定の許認可が必要なため、バーチャルオフィス住所の住所では開業することができません。
- 人材派遣業
- 職業紹介業
- 建設業
- 不動産業
- 古物商
- 探偵業
バーチャルオフィス住所で会社登記する場合によくある質問
バーチャルオフィス住所を使って会社登記する場合、多くの方が抱える疑問は次の4つです。
- バーチャルオフィス利用料は経費になるか
- 自宅で発生した費用は経費計上できるか
- 納税地の住所はどうすればいいか
- デメリットや注意点はあるか
以下、それぞれ解説します。
バーチャルオフィス利用料は経費になる?仕訳は?
ビジネスに関する出費は、すべて経費として申告できるため、もちろんバーチャルオフィス利用料も経費にふくまれます。
ただし、実際に不動産を借りているわけではないため、『賃借料』としては計上することができません。
『支払い手数料』または『外注費』(業務委託料扱い)にして仕訳しましょう。
自宅で発生した費用は経費計上できる?
自宅を利用して仕事を行っている場合、自宅の賃料や光熱費、電気代なども一部経費として計上することが可能です。
この場合、経費全体のうち、合理的な基準によって事業にかかった経費を分ける(家事按分)必要があります。
バーチャルオフィスの利用料に加えて、自宅で発生した費用も経費になるため、必ず申告したい項目です。
次項で納税地の住所とあわせて、経費計上の方法を紹介します。
納税地の住所はどうする?
個人事業主と法人の場合に分けて、納税地の住所について説明します。
個人事業主の場合
事業を始めるにあたり税務署に申請する『個人事業の改廃業等届出書(開業届出書)』には、『納税地』と『納税地以外の住所地・事務所』を記入する欄があります。
『納税地』に居住地、『納税地以外の住所地・事務所』にはバーチャルオフィスの住所にして申請する方法がおすすめです。
この申請方法だと、自宅で発生した費用とバーチャルオフィスの利用料を経費として計上できます。
法人の場合
法人登記をして会社を設立したい場合、『法人設立届出書』の『その法人の本店または主たる事務所の所在地』が納税地となります。
自宅住所orバーチャルオフィスの住所を選んで申請することが可能です。
デメリットや注意点はある?
事業が軌道に乗るまでの短期間でバーチャルオフィスの利用を考えているならば、自宅住所で登記した方が良い場合もあります。
一旦バーチャルオフィスで登記した場合、あとから本店移転登記を行うと、それに伴う手続きの手間や費用が発生してしまうからです。
ただし、賃貸マンション・賃貸契約物件によっては、管理規約で事務所登記を禁止していることがあります。
このような場合にはバーチャルオフィスの利用が有効なため、事前に契約時の賃貸契約書を確認してみましょう。
まとめ
今回は、バーチャルオフィス住所で開業するメリットや、開業に適している業種・職種について解説しました。
バーチャルオフィスは、事務所を構える必要がない事業を行う方にとって、ビジネス用の住所や電話番号をリーズナブルに取得できる非常に有効な手段です。
バーチャルオフィスの利用料も経費として申請できるため、気になった方はぜひ利用してみることをおすすめします。