会社や個人事業主は業務に使った関連費を「経費」として帳簿につけ、確定申告を行っています。実は副業でも同じく、業務のために使ったお金は経費として認められるのをご存じでしょうか。
ここでは副業の経費について、経費として認められるものや確定申告のやり方、経費の処理方法などをまとめて解説します。
副業でも仕事に使ったお金は経費になる?
副業をするうえで気になるのが、「副業でも経費は認められるの?」という点ではないでしょうか。結論から言うと、副業であっても経費は認められます。
ただしこれには条件があり、「雑所得・事業所得・不動産所得のどれかを確定申告する」「副業の収入がパート・アルバイトなどの給与所得ではない場合」に該当する場合が対象です。
収入(所得)から経費を引いて20万円を超えない場合は、確定申告そのものが必要ありません。
副業の所得は「雑所得」「事業所得」「不動産所得」で申告する
副業には物販やライティング、アパートの賃貸を行う……というふうにさまざまなものがあります。
このうち、所有している不動産で副業収入を得た場合は「不動産所得」で申告します。
残りの「雑所得」「事業所得」の違いは曖昧ですが、「継続して安定収入が得られるか」「職業として認知されているか」が判断基準になります。
「たまにハンドメイド商品を売る」というふうに、頻度が少ない場合は「雑所得」として申告すればOKです。一方「プログラミングで毎月仕事を受注している」「開業届を出して個人事業主として副業をしている」などの場合は、事業所得が妥当です。最終的な判断は税務署が行いますが、ひとつの目安として知っておくとよいでしょう。
副業の経費として認められるものには何がある?
副業でも経費計上が可能というのを知ったところで、「副業の経費として認められるものって?」と悩む方も多いかもしれません。
副業の経費として認められるものには、以下が挙げられます。
100%経費計上できるもの
- 販売商品の仕入れ、発送、倉庫の賃料
- 取引先との打ち合わせ等で使った飲食代、冠婚葬祭費
- ネット広告費、副業専用の名刺を作った場合の費用
- 副業専用のパソコン(10万円未満は消耗品となる※)、カメラやマイク、机の購入費
- 副業用の携帯がある場合は、その利用料金
- 副業で銀行を利用した場合の振り込み手数料
- バーチャルオフィスの料金
- 有料チャットツールの利用料金
- 副業用の資料・書籍代
- 副業のために購入した事務用品費
- 所有している賃貸物件の各種税金(不動産賃貸業の場合)
※10万円以上は固定資産として減価償却されます。20万円以上のパソコンの場合は購入額を4回(4年間)に分けて経費計上が可能です。ただし10万円以上~20万円未満の商品に関しては減価償却の特例が適用され、3年間で償却が可能です。
要するに、「副業のためだけに購入・導入したもの」は費用の100%が経費として計上できます。ただし、自宅で副業をされている場合は、家事按分といって「副業で使った金額分」が経費計上できます。
家事按分したうえで一部が経費として認められるもの
- 自宅兼オフィスとなる賃貸住宅の家賃
- 水道費
- 光熱費
- プライベートと兼用のネット回線費、スマホ料金
- プライベートと兼用の車の購入費、自賠責保険費、ガソリン代、車検代など
家事按分の方法は「支払金額×副業で使った割合(事業割合)=副業で使った金額」となります。
たとえば家賃10万円のマンションに住み、2部屋あるうちの1室を仕事場として使っている場合は「10万円×0.5(事業割合)=5万円」が副業における経費として計上できます。
項目によって「使用時間(水道・光熱費やネットなど)」「走行距離(車やバイクなど)」というふうに基準になるものが変わるので、あらかじめ調べておきましょう。
経費として認められないもの
当然のことですが、プライベートで使うために購入・利用したものは経費計上ができません。
あくまでも「副業に関係するもの・こと」が経費の対象となりますので注意しましょう。
経費の処理方法はどうすればいい?
経費の処理方法は、レシートや領収書を保管する方法が基本です。クレジット払いの場合はクレジットカードの明細書が必要となります。
冠婚葬祭費や飲み代、電車代など「領収書が貰えなかった」という場合は、出金伝票を作成するとよいでしょう。出金伝票は100円ショップでも購入でき、次の項目を記入します。
- 日付
- 支払い先or出金先
- 勘定科目(ex.接待交際費、交通費など)
- 摘要(ex.ご祝儀代として など)
- 金額(右端に「-(ハイフン)」を入れる)
出金伝票は領収書がもらえなかった場合やもらい忘れた場合などに便利ですが、あくまでも領収書・レシート等の保管が原則となります。多用するのは避けましょう。
副業で確定申告する際の経費の書き方
経費計上するためには帳簿を付ける必要があります。白色申告の場合は単式簿記といい、そこまで複雑ではありません。一方、開業して青色申告をする場合は複式簿記となり、帳簿付けが複雑になる点に要注意です。
帳簿ソフトを利用している場合は、その年に獲得した「所得」や経費を登録していくだけで、確定申告書へ自動的に総所得・経費が記入されます。
雑所得で申告する場合の記入例
- 「確定申告書A 第一表」の「収入金額等→(雑)その他」へ副業の収入を記入。
- 同一表の「所得金額→雑」にも所得を記入。
- 確定申告書A 第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」欄へ、左から「a.所得の種類(雑)、b.報酬の支払元、c.収入金額、d.源泉徴収税額」を記入。
- 同二表の「雑所得(公的年金等以外)・配当所得・一時所得に関する事項」へ、左からa.所得の種類(雑)、b.報酬の支払元、c.収入金額、d.必要経費の総額を記入。
副業でも経費計上できる! しっかり節税しよう
副業のために購入したものや導入したサービスの料金は立派な経費です。また、ご自宅で副業をしている方の場合、自宅住所の代わりにバーチャルオフィスを利用している場合も多いのではないでしょうか。このバーチャルオフィスも経費として計上可能ですので、忘れずに記録しておきましょう。